視点の統一





小説を書くうえでの基本のひとつです。
一人称、二人称、三人称の三種類があります。

一人称は「わたしが……」、「おれは……」というように、登場人物のひとりが語り手になった書き方。

おれが目を覚ますと、隣で鈴木が寝ていた。
みたいな感じです。

もっとも多く使われているのではないでしょうか。
語り手の登場人物になりきって書いてみてくださいね。

三人称は別名「神の視点」といわれています。その場には存在しない目を通して語られる物語です。
書き手のあなたが登場人物たちの生活を空から眺めて、それを読者に伝えるというふうに考えてみましょう。

山田が目を覚ますと、彼の隣で鈴木が寝ていた。
という感じ。

二人称は極めて稀な表現方法です。
BL小説では見たことがありません。わたしが知らないだけで、どこかにあるのかもしれないけど。
作者が読者に語りかけるような書き方、つまり、呼びかけです。

ぼくが目を覚ますと、きみは隣で寝ていたね。

……ロマンティックなようにも思えますが、これが延々続くと、ちょっと不気味です。

技として使い分けることもありますが、基本的にはひとつの視点で統一してください。

おれは鈴木のシャツの襟をつかんだ。鈴木は悲しくなって目を伏せた。山田の指先が白くなった。

はちゃめちゃです。
これではどの視点で物語が動いているかわからず、だれがなにを感じ、どういう行動をとったのかさっぱりつかめません。
慣れないうちは混乱してしまいがちですが、重要なことなので、注意してください。
初心者はまず一人称で書きはじめることをおすすめします。

もうひとつ。

一人称で書いている話の途中で語り手、つまり「おれ」が地の文(会話以外の文)からいなくなってしまうときは、どうすればいいのでしょうか。
たとえば、おれ(山田)がいない場所で鈴木と田中が話をするシーン。語り手が見聞きしていないことを書かなければならない場合、ちょっと困ってしまいます。

しかし、だからといって、その段落だけをいきなり三人称に変えたりしてはいけません。
逃げ道としては、第三者(店員や友人など)を使って、「そういえば、あのふたりが話しているのを聞いた」と繋げることがありますが、これだと信憑性と現実味に欠けるうえ、印象も薄いですよね。

あまりにも頻出するようであれば、いっそのことはじめから全部三人称に変えてしまうという手もありますが、これは死ぬほど面倒なうえに、ミスをしでかす恐れがあります。

重要なのは、プロットの時点でこういった事件が起きないかどうかを確認したうえで、視点を決めることです。

また、BL小説では、一人称でも大きく「攻め視点」と「受け視点」に分かれます。読んで字のごとく、攻めキャラの視点と受けキャラの視点です。
どちらがよいかはもう個人の趣味でしかないですね。できれば、両方書けるほうがいいです。
もし余裕があれば、同じ設定の作品を攻め視点と受け視点それぞれ1作ずつ書いてみてください。作品全体の印象がまるでちがうはずです。

こちらもほとんど見かけませんが、攻め・受け両主人公とはべつの第三者の視点からの一人称という技もあります。
難易度は増しますが、個性的な仕上がりにはなります。








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